お金の借入を考えている方が知っておきたい法律~利息制限法~

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お金の法律

出資法の記事でも解説していますが、本来、利息というものは、債権者(お金を貸している側)と債務者(お金を借りている側)との間で、自由に取り決めることができるものなんです。

このような、利率を当事者間で自由に取り決めることを、約定利息と言います。

しかし、約定利息を無制限に認めてしまうと、法外な利息を要求する貸主ばかりになってしまう可能性が高いので、法律により利率の制限を設けました。

利率に一定の規制をかけている法律が『出資法』と『利息制限法』なのです。

出資法に関する解説は『暮らしの法律学Ⅱ~出資法~』で解説していますので、こちらでは利息制限法について、解説していきたいと思います。

 

利息制限法の概要

利息制限法で定められている利率を超えて利息を請求した場合、そこにどんな理由があろうとも、超過利息について無効となります。

無効というのは、過去に遡って全ての効力を有しない、という意味であり、つまりは契約そのものが無かったことになる、ということです。

したがって、債権者が利息制限法の上限を超える利息を請求して「契約不履行で訴えることになる!」と迫ってきた場合でも、その契約自体が元々無い「無効」となるので、取り合うどころが逆に脅迫として訴えることもできます。

債務者の保護を目的として制定された利息制限法ですが、その利率については以下の表を参照して下さい。

利息制限法で規定されている年間利率
10万円未満 年間利率 20%
10万円以上~100万円未満 年間利率 18%
100万円以上 年間利率 15%

ご覧のように最高利率が20%に規定されているのですが、この法律には大きな穴がありました。

 

金利のグレーゾン

利息制限法の大きな穴とは何か。

それは、利息制限法には罰則がなく、違反したとしても、何らペナルティーを科せられることがないのです。

当然のことながら、このような法律を守ろうと思う業者などありません。

罰則の対象にならないことをいいことに、かつては利息制限法の上限と出資法で定められている利率の間、いわゆるグレーゾーンでの利率の設定が当たり前でした。

しかし、平成22年6月18日に貸金業法が改正され、利息制限法の利率を超える利息は禁止されるようになったため、今では、出資法ではなく利息制限法の範囲内で設定されています。

 

みなし弁済の解説

現在では、みなし弁済という制度自体が廃止されていますが、雑学の一つとして、参考までに説明していきたいと思います。

貸金業規正法 第43条1項
1、貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息(利息制限法(昭和29年法律第100号)第3条の規定により利息とみなされるものを含む。)の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払った金銭の額が、同法第1条第1項に定める利息の制限額を超える場合において、その支払が次の各号に該当するときは、当該超過部分の支払は、同項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす。

法律の条文というのは非常に理解し難い言葉が並んでいるのが特徴です。

なので、上記の条文を分かり易く説明すると、利息制限法の利率を超えた利息だとしても、ある一定の条件を満たしていれば、その弁済は有効なものとなる、という規定なんです。

100%の意味ではありませんが、さらに噛み砕いて説明すると、借主が利息と承諾して払ったものに関しては、貸主は貰っておいても良い、という意味です。
これがみなし弁済規定というものです。(みなし弁済に関しては、すでに廃止されている規定なので、細かい説明は省略させていただきます)

 

余談になりますが、利息制限法の第3条には『みなし利息』というものがあるので、以下で解説してみたいと思います。

利息制限法 第3条(みなし利息)
金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。

これを簡単に説明すると、貸主が元本以外で受け取った金銭は、実質的にみれば利息の性格をもっていると判断できるので、借主が元本以外で支払った金銭は全て利息とみなされることになります。

 

現在では、みなし弁済もグレーゾーンもありません。

なので、貸金業法に基づいて登録している消費者金融であれば、きちんと利息制限法の範囲内で利率は計算されています。

ただし、非登録業者や闇金などの類に関しては、法定利息を守って運営していることなど有り得ないので、間違っても闇金などに手を出さないように気をつけて頂きたいと思います。

 


 



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