市場というものが出来上がり、いくら人が集まるようになったとはいえ、相変わらず希望する取引を成立させることは非常に困難を極めていました。人類は、この状況を打破すべく、さらに大きな進化を遂げることになります。
どのような進化かと言うと、欲しい物を取り替えるような単なる物々交換ではなく、皆が共通して必要とする物、つまり『物の中でも一番需要のある共通の品』を、自分の持ち物と交換しておくことが取引手段として生まれました。
このシステムで取引きすることによって、自分が持っている物を欲しがっている相手を探す手間が省けることとなり、大幅に時間を節約できる結果となりました。
先の例で言うと、Aさんは肉を持っている人を探すことに専念出来る事になります。魚を欲しがっている人を探す必要がなくなるので、取引きの効率が非常にアップしたと言えます。
これは非常に画期的なアイディアで、取引が成立する確率を格段に上げる結果となりました。
お金の起源となる『仲立ち物』の誕生
この『皆が欲しがる共通の物』のことが仲立ち物と呼ばれるものであり、たとえば、日本では稲が仲立ち物として利用されていました。つまりお米を仲立ち物として使っていたのです。
現代と違い、昔はお米というものが非常に貴重な品で、簡単には手に入らない高価な物であったんです。
その他には、『布』も非常に貴重な品として位置していて、これも仲立ち物として取引きに利用されていました。
自分の持ち物を米や布に交換しておいて、市場で自分が必要とする品を持っている人と商談することで、取引を成立させます。
つまり、仲立ち物というのは、今現在、皆さんが当たり前のように取引きに利用している『お金』というものの起源だと言うわけです。
しかし、この仲立ち物は便利なようですが、非常に不安定な要素を持つ品でもありました。
その理由というのは、地域によって共通の物が変わることがあり、少し足を伸ばして他地域で取引きしようと思った場合、自分の持っている仲立ち物で取引き出来ないことになってしまうのです。
せっかくお米や布を持っていても、地域によってはお米ではなく全く別の物が仲立ち物として位置している、ということも珍しいことではなかったのです。
このような事態を避けるために、更にもう一歩踏み込んだ工夫が成されていくこととなります。
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