感覚的にマルチ商法を胡散臭いと感じるのは何故なのかというと、法律で禁止されている『ねずみ講』とマルチ商法は、本質の部分では同じだからです。では『ねずみ講』というのは一体どういうものなのか?
例えばAさんが『ねずみ講』に参加するためには一定の金額を出資することになります。
そして、新たにBさんやCさんを「ねずみ講」に参加するように勧誘して一定の金額を出資させると、Aさんは配当がもらえることになります。
この流れは、Aさんから紹介を受けたBさんやCさんの場合でも同じです。
BさんやCさんが出資金の元を取ろうと思った場合、それぞれ知り合いのDさん・Eさん・Fさん・Gさんなどを『ねずみ講』に参加するよう勧誘して、一定の金額を出資させるように何とか説得して配当をもらう流れとなります。
法律で禁止されているか否かの違い
つまり、商品がある・商品が無い、という違いだけで、ねずみ講もマルチ商法もほとんど違いがありません。
マルチ商法では、前述しているように、扱っている商品はありますが、その商品自体に魅力があるから購入するというのではなく、単に紹介料が欲しいから会員になってくれる人を探すだけです。
表面的に形が変わっているだけで、ねずみ講での配当金が、マルチ商法では紹介料にすりかわっているだけということです。
ねずみ講というのは、法律で禁止されています。
マルチ商法で使われる商品は、ねずみ講を合法的におこなうために「法律の抜け穴を使った」詐欺行為の小道具に過ぎないわけです。
ねずみ講が違法になった理由とは
ちなみに、ねずみ講がどうして法律で禁止されているのかというと、ねずみ講というシステムは、入会者が無限に存在すると仮定すれば確かに損をする人はいません。
ですが、日本の人口に限りがあることからして分かることなのですが、入会者が無限に存在するなんてことは有り得ないわけです。
また、いくら日本の人口が1億人以上といったところで、日本国民の全てが『ねずみ講』に入会することはないわけです。
入会して参加する人というのは、ごく一部の地域のごく一部の人たちだけです。
この単純な数字の理論が分かれば、遅かれ早かれ『ねずみ講』の入会者には限界が訪れるのは火を見るより明らかです。
後のほうで入会して出資した人は、お金を回収できない可能性が高くなることは当然と言えるでしょう。
だから、回収したいがために騙したり脅したりというような、違法な手段を使って強引な勧誘をすることになってしまう。
これらの理由から『ねずみ講』は禁止されているのですが、これと全く同じ事がマルチ商法にも、そのまま当てはまることになります。
マルチも厳密に言えば違法になる!?
実際に、とあるマルチ商法では、大学生が知り合いの高校生を強引に勧誘して、その高校生がサラ金からお金を借りて入会するということがありました。
しかし、その高校生は、そのことを家族に言えず苦しい思いをして、とうとう自殺にまで追い込まれてしまったという、非常に痛ましい事件も発生しています。
これは、昭和50年の9月に実際に起こっている事件です。
このような酷い事件が実際に発生しているので、とうとうマルチ商法も規制されることになりました。
昭和51年には、訪問販売法が成立して、その中で実質的には禁止されることになりました。
法律と知能犯とのいたちごっこ
ところが、世の中は悪い輩が後を絶たないもので、そういった連中はさらに色々なことを考え出してきます。
訪問販売法の中で実質的に禁止されているのは、商品の販売という手段を使ったマルチ商法となります。
そういうことであれば、商品の販売ではなく『商品販売の仲介というスタイル』・『商品ではなくてサービスを対象とするスタイル』という形にすれば、訪問販売法の中で実質的に禁止されているマルチ商法にはあたらないとして、今度はマルチまがい商法を始めたわけです。
そこで今度は、昭和63年に訪問販売法が改正されて、上記のような『マルチまがい商法』についても規制されることになりました。
ですが、トカゲの尻尾と同じで、規制しても新たに形を変えて生まれてきています。
現在でも『MLM(マルチ・レベル・マーケティング)』などという名称を使って、マルチ商法は生き残っているのが現実です。
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