お金の借入を考えている方が知っておきたい法律~出資法~

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暮らしの法律学

お金を借りるということは、そのお金に利息というものが加算されるので、返済は元本と利息を合算した金額になります。しかし、この利息というのは、一体どういった根拠に基づいて決められているのか、といったことまで理解している方は、あまりいないと思われます。

原則として、利息というものは、債権者(お金を貸している側)と債務者(お金を借りている側)との間で、自由に利率を決めることができます。

このような取り決めを約定利息と言います。

しかし、良心的に利息を設定するような貸主しか存在しない世の中であれば、当事者間で自由に取り決めても何ら問題はありませんが、世の中そう甘くはありません。

悪質な輩は必ずいるもので、約定利息を無制限に認めることになると、際限の無い高額な利息を設定し、暴利を貪る輩を放置することになります。

これでは、本当にお金を必要としてる人が、全て食い物にされることになってしまいます。

そのような悪循環にストップをかけるために、国がある一定のルールを設けることになりました。それが出資法という利息に関する法律です。

では、以下に出資法に関しての簡単な解説をしてみたいと思います。

 

出資法の概要と改正履歴

前述したように、本来、利息というものは、債権者(お金を貸す側)と債務者(お金を借りる側)が、当事者同士で自由に決めることができるものです。

それを、1954年(昭和29年)に、出資法という、わずか9条の法律を施行し、高利貸付業者の横行に一定の歯止めをかけたことから始まります。

出資法の概要

ちなみに出資法の正式名称は出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律といい、非常に長い法律名の略称です。

利息を取り締まる法律には、もう1つ利息制限法というものがありますが、こちらではまず、出資法についての解説をしていきたいと思います。

利息制限法に関しては、別記事で解説していますので、興味のある方は一読していただきたいと思います。

出資法の概要

出資法とは、利息を制限する法律であり、「○○○円貸し付けた場合は、利率は○○%までにしなければならない」というように、利率の上限を取り決めたものです。

この上限に違反した貸金業者には、刑事罰が科せられることとなり、事実上、出資法を施行したことによって、法外な高利による貸付ができなくなりました。

出資法で定める利率

出資法に定められている利率は、法律の改正により、数回にわたって引き下げられてきました。

金銭の貸付を業として営む場合の上限利率の改正履歴
1954年 109,5%
1983年11月1日~ 73%
1986年11月1日~ 54,75%
1991年11月1日~ 40,004%
2000年6月1日~ 29,2%

上記の表をご覧になれば分かるかと思いますが、出資法で定められている上限利率は元本に対して29,2%となっています。

 

さらなる法改正

出資法は、2003年にさらなる法改正をすることにより、違反業者に対する罰則が強化されました。同法第5条に、その旨が記述されているので、ここで抜粋してみたいと思います。

(高金利の処罰)
第5条
金銭の貸付けを行う者が、年109.5パーセント(2月29日を含む1年については年109.8パーセントとし、1日当たりについては0.3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2、前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年29.2パーセント(2月29日を含む1年については年29.28パーセントとし、1日当たりについては0.08パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

3、前2項に規定する割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者は、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

4、前3項の規定の適用については、貸付けの期間が15日未満であるときは、これを15日として利息を計算するものとする。

5、第1項から第3項までの規定の適用については、利息を天引する方法による金銭の貸付けにあつては、その交付額を元本額として利息を計算するものとする。

6、1年分に満たない利息を元本に組み入れる契約がある場合においては、元利金のうち当初の元本を超える金額を利息とみなして第1項から第3項までの規定を適用する。

7、金銭の貸付けを行う者がその貸付けに関し受ける金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもつてするを問わず、利息とみなして第1項及び第2項の規定を適用する。貸し付けられた金銭について支払を受領し、又は要求する者が、その受領又は要求に関し受ける元本以外の金銭についても、同様に利息とみなして第3項の規定を適用する。

* 改正部分は、上記条文の太字の部分となります。

 

この法改正で注目すべき点は、貸金業者が出資法で定める上限利率、つまり29,2%を超える支払いを要求するだけでも、5年以下の懲役、または、1000万円以下の罰金(弊科あり)に処されることになります。

ちなみに、法人の金融業者がこれに違反した場合は、3000万円以下の罰金という、非常に重い罪となります。

現在では、出資法の上限利率はさらに改正されて、年20%にまで引き下げられています。

 


 



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